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G55座標オフセットの設定手順と衝突防止:Siemens CNC

Siemens SINUMERIKにおけるG55設定可能ゼロオフセットの設定と安全対策。重要パラメータMD 24000の役割、Alarm 18312の回避法、およびTRANSコマンドでの衝突を防ぎ量産繰り返し精度を高めるプログラミング手法。

Hakan Gündoğdu
Hakan Gündoğdu

CNC CARE 共同創業者

はじめに

CNCマシニングセンタや旋盤の稼働中、プログラムがサイクル途中で中断されたり、G55ゼロオフセットのキャンセルが行われる前にリセットされたりすると、ツールタレットや高速回転する主軸(spindle)が予期せぬ軌道で移動し、治具のバイスジョー(vise jaw)やスピンドルの回転チャック(chuck)ジョー、あるいはテーブル上のクランプ(clamp)治具へ激突する致命的な機械衝突を引き起こします。この高衝撃の衝突は、超硬工具(carbide tool)を粉砕し、精密な送り軸ガイドを損傷させ、過負荷アラーム(Alarm 14800など)を発生させて自動運転を停止するだけでなく、高価な被削材を瞬時に廃却処分(ruined scrap)の不良品にしてしまいます。

このパラメータが未検証のまま量産に入ると、2ロット目から寸法ばらつきが広がり、最終検査で初めて不良が発見される。段取り前にMD 24000パラメータを確認することで、このコマンドで最も多い非計画停止を防げる。加工前にこれらの座標オフセット構成が正しいかを確実に検証することで、ロット間における寸法再現性の低下や不良品発生を未然に防止し、生産における長期的な信頼性と繰り返し精度を確立できます。

技術概要

項目技術仕様
指令コードG55
モーダルグループグループ 8 (Modal)
機能ワーク座標系2 / 設定可能ゼロオフセット2
サポートブランドSiemens (SINUMERIK)
重要パラメータMD 28080 $MC_MM_NUM_USER_FRAMES, MD 24000 $MC_FRAME_ADD_COMPONENTS
主な制限事項ファインオフセットの使用には MD 24000 = 1 の設定が必要。G10 との互換性のために G290 および G291 を介してコンパイルモードを切り替える。

クイックリード

  • 原点シフト: G55をプログラミングして第2設定可能ゼロオフセットを選択し、原点を機械の絶対ゼロ点(M)からワーク座標系(W)へシフトします。
  • デュアルコンポーネント登録: ゼロオフセットはコースオフセットとファインオフセットのコンポーネントで管理され、これらが数学的に加算されてアクティブなワークゼロ点が決定されます。
  • バイリンガルコンパイラ切替: G291を使用してISOダイアレクトモードに切り替え、従来のG10 L2 P2オフセット書き込みブロックを実行し、その後G290でネイティブのSINUMERIKモードに戻します。
  • 軸方向オフセットインターロック: システムアラームを回避するため、G55と併用してG58/G59による軸方向オフセットを書き込みまたは実行する前に、機械パラメータ MD 24000 $MC_FRAME_ADD_COMPONENTS = 1 を構成します。
  • フレーム代入のリスク: サブプログラム内でシフトをクリアするために引数のないTRANSコマンド単独で実行することは避けてください。アクティブなすべてのフレームを置き換え、座標回転やミラーリングを削除してしまいます。
  • 独立したブロックスキップ: Siemensはブロックスキップ文字の / と /1 を独立したブロックスキップチャネルとして処理するため、制御設定で個別に有効化する必要があります。

基本概念

Siemens制御システムでG55ゼロオフセットを有効にすると、プログラム座標系の原点が機械の絶対ゼロ点(M)からワークのローカル基準点(W)へ直接シフトします。G55に続く位置決め動作は、このワーク座標系上でプログラミングされます。機械ゼロ点とワークゼロ点との実際の距離は、ワークの形状や物理的なクランプ方法によって完全に異なります。旋盤加工では、このゼロオフセットは通常、チャックの締め代(締め幅)を補正するために入力されます。マシニングセンタ加工では、このオフセットは基本機械ゼロ点からワーク治具上にあるワーク原点までの物理的な距離を定義します。個々のユーザーゼロオフセット(G54からG599)は、コースオフセットとファインオフセットで構成されています。プログラム内でG55が呼び出されると、これらコースおよびファインオフセットが数学的に加算されてアクティブなワークゼロ点が決定されます。

Siemens制御システムでG55ワーク座標系(しばしばG55ワーク座標系と呼ばれます)を実装すると、基本機械座標系に対してアクティブな絶対座標レジスタがシフトします。この準備指令は、機械基準原点ではなく、未加工のワーク(raw stock)上にローカライズされたプログラムゼロ点を直接設定するため、プログラマーは機械基準原点ではなく、物理的な部品形状に基づいてツールパスを定義できます。

コマンド構造

ネイティブのSiemens SINUMERIKモードでは、G55はGグループ8に属するモーダルな準備機能です。G55が実行されると、後続の絶対位置決め座標は第2設定可能ゼロオフセットを基準とします。このオフセットは、G54ワーク座標系などの異なるゼロオフセットを選択するか、G500ゼロフレームを選択して非アクティブ化されるまで、チャンネル内で有効なままになります。

従来のISOプログラムをコンパイルする場合、制御システムはG291を介してISOダイアレクトモードに切り替える必要があります。このコンパイラモードでは、プログラマーはG10 L2 P2データ設定コマンドを使用してG55レジスタを書き込みまたは更新できます。ここで、アドレスL2は標準ワーク座標系データ入力を指定し、アドレスP2はG55に対応する第2ワーク座標系を選択します。

; Native Siemens mode syntax
G55

; ISO Dialect mode syntax (toggled via G291) G10 L2 P2 X__ Y__ Z__

  • G55: 第2設定可能ゼロオフセット / ワーク座標系を選択します。
  • G10: オフセットレジスタを変更するためのプログラマブルデータ入力を有効にします。
  • L2: 標準ワークオフセット座標データ入力を指定します。
  • P2: G55ゼロオフセットレジスタを指定します(ISOダイアレクトモードでG55にマッピングされます)。
  • X, Y, Z: 絶対オフセット(G90下)またはインクリメンタル加算値(G91下)を表す座標値です。

ブランド別応用

Siemens

Siemens SINUMERIK制御システムでは、G55ゼロオフセットは座標基準システムを機械絶対座標からローカルワーク座標にシフトします。システムセットアップおよびオフセットメモリ構成は、特定のマシンデータ(MD)パラメータを介して管理されます。この制御装置は、ネイティブのSINUMERIKプログラミングと従来のISOダイアレクト指令の間を移行するためにバイリンガルインタープリタを利用します。

カテゴリ項目 / コード説明 / 条件
パラメータMD 28080 $MC_MM_NUM_USER_FRAMES制御メモリに割り当てられる調整可能なユーザーフレーム/設定可能ゼロオフセット(G54からG57、G505からG599)の総数を定義します。
パラメータMD 18601 $MN_MM_NUM_GLOBAL_USER_FRAMES使用可能なグローバルユーザーフレームの最大数を構成します(値範囲:1から93)。
パラメータMD 24000 $MC_FRAME_ADD_COMPONENTSファインオフセットを有効にします。G55と併用してG58/G59を介して軸方向オフセットを書き込みまたは実行するには、1に設定する必要があります。0に設定されている場合、G58/G59を使用するとシステムアラームが発生します。
パラメータMD 20734 $MC_EXTERN_FUNCTION_MASK (Bit 13)G10書き込み指令の実行中に内部プリプロセッサストップ(STPPRE)を強制し、メイン実行ブロックでの即時座標同期を確実にします。
パラメータMD 18800 $MN_MM_EXTERN_LANGUAGEISO GコードおよびG291コンパイラモードを処理するために必要な外部NC言語インタープリタを有効にします。
パラメータMD 20150 $MC_GCODE_RESET_VALUES[3]リセット時または電源投入時のグループ8のデフォルト有効Gコードを決定します(デフォルトは1で、G500に対応します)。

オペレータは、G55オフセットの変更が実行されたときに、ツールタレット、測定ステーション、スピンドルなどの敏感な機器周辺に有効な保護領域を定義するため、稼働領域制限(G25/G26またはWALIMON/WALIMOF)を構成する必要があります。これにより、偶発的なオーバートラベルからワーククランプ治具を保護します。

ブランド比較

比較項目SINUMERIK 840D sl / 828DSINUMERIK 802D sl
マシンデータパラメータマシンデータパラメータ(MD 10604MD 10706MD 20154 など)は、プログラマーまたはセットアップオペレータが完全に調整可能です。マシンパラメータはハードロックされており、オペレータは調整できません。グローバルユーザーフレームは固定されています。
多刃旋盤オプション高度な旋盤準備機能である G51.2(多角旋盤 ON)および G50.2(OFF)をサポートしています。準備機能 G51.2 および G50.2 は制御コンパイラから省略されています。
衝突回避オプション包括的な衝突回避および動的稼働領域制限パッケージが含まれています。高度な機械衝突回避オプションがなく、標準的な境界パラメータのみに依存しています。

技術解析

ゼロオフセットの処理とプログラミングにおいて、Siemens制御システムは以下の3つの重要なプログラム上およびアーキテクチャ上の挙動により、FanucやMitsubishi制御システムと明確に異なります。

第1に、Siemensは標準Gコードを解析するためにバイリンガル切替コンパイラモデル(G290/G291)で動作します。FanucやMitsubishi制御システムが座標オフセットやレジスタシフトを1つの連続したプログラムフロー内でネイティブに解釈するのに対し、SiemensではG10オフセット入力などの従来のISO記述スタイルを含むブロックをコンパイルするために、G291を介して明示的にコンパイラをISOダイアレクトモードに切り替える必要があります。その後、高度なパラメータフレーム(TRANS/ROT/SCALE/MIRROR)やネイティブゼロオフセットを処理するために、プログラムはG290を指令してネイティブのSINUMERIKモードに戻さなければなりません。

第2に、Siemensは座標変換をダイナミックでモジュール式の「フレーム」メモリスタックのコンポーネントとして管理します。G55はベースラインの設定可能フレームとして機能します。このベースラインG55フレームの上に、プログラマーは同じプログラムブロック内でプログラマブル絶対オフセット(TRANS/ROT/SCALE/MIRROR)または付加的修飾子(ATRANS/AROT/ASCALE/AMIRROR)を動的にチェーンできます。しかし、絶対フレームは「代入(置き換え)命令」です。一時的なシフトをクリアするために引数のないTRANSコマンド単独でプログラミングすると、アクティブな他のすべてのフレーム変換(座標回転やミラーリングなど)が自動的に無効になり、現在のワーク座標セットアップが予期せず消去されます。FanucやMitsubishiでは、ミラーリング、スケーリング、回転は独立したモーダルグループに属しており、無関係な座標レジスタに影響を与えることなく個別にキャンセルできます。

第3に、Siemensはブロックスキップレベルを個別の独立したチャンネルとして処理します。/ と /1 のスキップ文字がまったく同じレベルを表すオリジナルのISOダイアレクトとは異なり、Siemensは / と /1 を個別に有効化する必要がある別々のスキップレベルとして扱います。オペレータがこれらスキップレベルを個別に構成することなく、両方のスキップスタイルを含むレガシープログラムをSiemens制御システムで実行した場合、スキップされるはずのブロックが実行され、予期しない軸移動や壊滅的な機械衝突につながる可能性があります。

プログラム例

N10 G90 G710 G40 ; ネイティブのSiemensモード、絶対座標、メトリック単位を設定し、工具径補正をキャンセル
N20 G291 ; 従来のブロックを解析するためにコンパイラをISOダイアレクトモードに切り替え
N30 G10 L2 P2 X-250.5 Y-150.0 Z-400.2 ; ワークオフセット座標をG55 (P2) に書き込み
N40 G290 ; コンパイラをネイティブのSiemens SINUMERIKモードに戻す
N50 G55 G00 X0 Y0 ; G55設定可能ゼロオフセットを有効にし、X軸とY軸を原点に早送り位置決め
N60 T1 D1 M3 S1500 ; 工具T1をロードし、刃先オフセットD1を有効化し、スピンドルを時計回りに1500 rpmで起動
N70 G00 Z50.0 ; Z軸を安全高さに早送り移動
N80 G01 Z-5.0 F150.0 ; 150.0 mm/minで工具を深さZ-5.0まで直線送り
N90 TRANS X20.0 Y20.0 ; G55に対する絶対プログラマブルゼロオフセットフレームを設定
N100 G01 X30.0 Y30.0 ; シフトした座標原点に対して直線移動を実行
N110 TRANS ; プログラマブルオフセットを無効にし、ベースラインのG55ゼロ点に戻る
N120 G00 Z100.0 M5 ; 工具を安全高さに早送り退避させ、スピンドルを停止
N130 G500 G00 X0 Y0 Z0 ; G500を介して設定可能フレームを無効にし、機械ゼロ点に戻る
N140 M30 ; プログラム実行を終了しメモリを巻き戻し

空運転 (dry run) ウォークスルー

  • N10: ネイティブのSiemens SINUMERIKモード、絶対座標系(G90)、メトリック寸法設定(G710)を設定し、工具径補正(G40)をキャンセルします。
  • N20: 従来のブロックフォーマットを解析するために、コンパイラインタプリタをISOダイアレクトモード(G291)に切り替えます。
  • N30: G10 L2を使用し、G55(P2)に対する絶対ワーク座標オフセット値として、X-250.5、Y-150.0、Z-400.2をプログラミングします。
  • N40: ネイティブフレームを実行するために、コンパイラインタプリタをネイティブのSiemensモード(G290)に切り替えます。
  • N50: 第2設定可能ゼロオフセットユーザーフレーム(G55)を選択し、XおよびY軸をローカルプログラム座標原点(X0Y0)へ早送り(G00)で位置決めします。
  • N60: 工具T1を選択し、刃先パラメータレジスタD1を有効化して、スピンドルを時計回りに1500 rpmM3)で正転起動します。
  • N70: Z軸を、有効なG55ワークゼロ点に対して安全逃げ高さZ50.0へ早送り移動します。
  • N80: 工具を送り速度150.0 mm/minで切り込み深さZ-5.0まで直線送り(G01)で移動します。
  • N90: 絶対座標変換フレーム(TRANS X20.0 Y20.0)をプログラムで適用し、アクティブなワーク座標系の原点をG55に対してX軸およびY軸方向に20.0 mmシフトします。
  • N100: 新たにシフトされたローカル座標原点から計算して、座標X30.0Y30.0へ工具を直線送りします。
  • N110: 軸入力のない単一のTRANSコマンドを実行します。これは、アクティブなプログラマブルフレームコンポーネントをすべて無効にし、アクティブな座標原点を直接ベースラインのG55フレームに戻す代入(置き換え)命令として機能します。
  • N120: Z軸をZ100.0へ早送り退避させ、スピンドル停止(M5)を指令します。
  • N130: G500を使用してG55設定可能ゼロオフセットユーザーフレームを無効にし、機械座標ゼロ点(X0 Y0 Z0)へ機械軸を早送り位置決めします。
  • N140: プログラムの実行を終了し、制御メモリを巻き戻します(M30)。

エラー解析

アラームコード発生条件オペレータから見た現象根本原因 / 対策
Siemens Alarm 18312機械パラメータ MD 24000 が0に設定されている状態で、プログラムが G55 と併用して G58 または G59 を介した軸方向オフセットを書き込みまたは実行しようとしたとき。即座に実行が停止し、操作パネルに「channel %1 block %2 frame: Fine offset not configured(ファインオフセットが構成されていません)」と表示されます。根本原因:機械構成でファインオフセットが無効になっています。対策:ファインオフセットを有効にするため、パラメータ MD 24000 $MC_FRAME_ADD_COMPONENTS = 1 を設定します。
Siemens Alarm 14800移動(G01 など)が指令されたが、有効なプログラム指令送り速度 FF0 と評価され、「固定送り速度」機能が有効ではないとき。実行が停止し、操作パネルに「Channel %1 Set %2 programmed path velocity is less than or equal to zero(プログラム指令経路速度が0以下です)」と表示されます。根本原因:送り速度ゼロで移動指令が実行されました。対策:アクティブブロックまたはモーダル値にゼロ以外の送り速度 F を指定します。
Siemens Alarm 14060プログラムされたブロックスキップレベルが許容範囲外(1未満または9超)の値と評価されたとき。実行が停止し、操作パネルに「Impermissible skip level for differential block skip(不適切な差動ブロックスキップレベルです)」と表示されます。根本原因:無効なスキップレベルの入力です。対策:ブロックスキップレベルを 1 から 9 の範囲内で指定します。
Siemens Alarm 12080制御コンパイラが認識できないコマンドやフォーマット競合を解析したとき(例:G291 ISOモードの下で G500 のようなネイティブのSINUMERIKコマンドを実行したなど)。実行が停止し、操作パネルに「Syntax error / Unknown block(構文エラー / 不明なブロック)」と表示されます。根本原因:ISOモード下でネイティブコマンドがコンパイルされました。対策:正しいGコード構文を確認するか、ネイティブ指令を実行する前にネイティブモード(G290)に切り替えます。

実務応用ノウハウ

G55オフセットの変更タイミングを誤ると、ツールチップが粉砕され、軸のボールねじやタレットが致命的な損傷を受け、ワークが完全に破壊されるという最悪のクラッシュが発生します。現場での最大の落とし穴は、プログラムをシングルブロック停止させた状態で、操作盤のレジスタ画面やG10を使用してG55の値を書き換える操作です。CNCのモーションカーネルは、すでにバッファされている現在の移動ブロックに対してこの更新を反映しません。新たなオフセット値が有効になるのは次のブロック以降であるため、オペレータがサイクルスタートを押した瞬間、機械は変更前の古いオフセット値で計算された軌道に沿って移動を再開します。この結果、スピンドルやタレットはテーブル上のクランプやバイスジョウ、あるいはスピンドルチャックの回転ジョウへ向かって無補正のまま突進し、大電流過負荷アラームやAlarm 18312などのエラーを発生させて強烈に激突します。

このパラメータが未検証のまま量産に入ると、2ロット目から寸法ばらつきが広がり、最終検査で初めて不良が発見される。段取り前にMD 24000パラメータを確認することで、このコマンドで最も多い非計画停止を防げる。加工段取り替えや複数ロットの加工において、一時的な原点シフトをクリアする目的で引数のないTRANSコマンドを不適切に呼び出すと、G55上に重ねられていた有効な座標回転(ROT)やミラーリング(MIRROR)といったアクティブなフレーム変換がすべて自動的にリセットされてしまいます。その結果、原点位置や加工方向が予期せず書き換わり、ワークの加工位置が数十ミリずれたり、反転した形状が削り出されたりして、ロット間の再現性の低下や重大な不良品発生に直結します。このような動作エラーを防ぐためには、オフセット変更後にプログラムを必ず一度リセットし、インタープリタに座標値を再計算させなければなりません。これらを確実に検証することで、不要な非計画停止と衝突リスクを完全に排除し、工場全体の生産信頼性と繰り返し精度を最大化できます。

関連コマンド

  • G54〜G57、G505〜G599 (設定可能ゼロオフセット): プライマリおよび後続の設定可能ゼロオフセットユーザーフレームを呼び出し、アクティブなワーク座標系を定義します。リンク:G54設定可能ゼロオフセット または G54ワーク座標系
  • G53 / G153 / SUPA (オフセット抑制): 機械座標ゼロ点を基準とする安全な軸位置決めを可能にするため、アクティブな設定可能ゼロオフセット、プログラマブルフレーム、および基本フレームを非モーダルで無効化します。
  • TRANS / ATRANS (プログラマブルゼロオフセット): 絶対的または付加的な座標変換を適用し、アクティブなG55ワークゼロ点に対して座標原点をシフトします。
  • G58 / G59 (軸方向プログラマブルオフセット): 特定の軸についてプログラマブルゼロオフセットの変換コンポーネントを置換または追加し、絶対コースオフセットおよび付加的ファインオフセットとして機能します。
  • G290 / G291 (コンパイラモード選択): 制御インタープリタをネイティブのSiemens SINUMERIKモードと従来のISOダイアレクトモードの間で切り替えます。

おわりに

機械稼働率を高め、複数ロットにわたる高い繰り返し精度を保証するためには、G55設定可能ゼロオフセットの設定と、それをサポートするシステムパラメータ(MD 24000やMD 28080など)を確実に検証するプロセスを標準化することが推奨されます。プログラム開発時には、モード移行コマンド(G290/G291)とフレーム変換スタックの特性を深く理解し、一時的なシフトの無効化にはTRANSコマンドの誤用を避けて適切な変数を記述するよう徹底すべきです。さらに、加工段取りの際には、最初のロットを開始する前にG25/G26による稼働領域制限を設定し、空運転(dry run)によるパスの軌道検証を行うことで、オペレータのミスに起因する予期せぬ衝突事故や再現性の低下を排除し、安全で高品質な量産ラインを構築してください。

よくある質問

量産ロット間でワーク原点位置に微小なばらつきが生じる場合、Siemens制御のどの設定を確認すべきですか?

G55ワーク座標系での加工においてロット間の繰り返し精度が低下する場合、マシンデータ MD 24004 ($MC_CHBFRAME_POWERON_MASK) や、リセット時のデフォルトGコードを規定する MD 20150 ($MC_GCODE_RESET_VALUES) の設定状況を確認してください。電源投入時やリセット操作時に、チャネル固有の基本フレーム(basic frame)が予期せずクリアされたり初期化されたりしている可能性があります。予防策として、加工段取りの開始時にオフセット設定画面でG55の「coarse(粗)」および「fine(微)」のレジスタ値を手動で照合し、差分をログに記録することを標準作業として追加してください。

SiemensのG55座標系でG58/G59のファインオフセットを安全に使用するためのパラメータ検証手順は?

G55上で軸方向オフセット(G58/G59)を有効にするには、機械メーカーによって MD 24000 ($MC_FRAME_ADD_COMPONENTS) が 1 に設定されているかを事前に確認する必要があります。これが 0 の場合、プログラム上でファインオフセットが無視されるか、実行時にエラーが発生します。稼働前にシステム変数 $P_CHBFRMASK などのレジスタ値をシステム画面から読み取り、パラメータが正しく動作しているか確認する検証ルーチンをプログラムのヘッダー部分に組み込んでください。

従来のISOプログラムを実行した際に、Siemens制御で Alarm 12080 (Syntax error) が発生する原因と対策は?

これは通常、G291を介してISOダイアレクトモード(ISO Dialect mode)に切り替えた状態で、Siemensネイティブの指令(G500やTRANSなど)を実行したときに発生します。また、MD 18800 ($MN_MM_EXTERN_LANGUAGE) が有効になっていない状態でG291指令を読み込んだ場合も同様のエラーが発生します。対策として、従来のG10やG55ブロックを使用する箇所の直前で必ずG291を呼び出し、ネイティブ指令に戻る前には必ずG290を指令してコンパイラモードを明示的に切り替えるよう、ポストプロセッサの出力設定を修正してください。

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Hakan Gündoğdu
  • CNC CARE Co-Founder (May 2025 - Present)
  • Mitsubishi Electric NC Sales & Service Section Manager (2008 - 2025)
  • Reis CNC Service Engineer (2003 - 2008)
  • Ören Kalıp CNC Mold Line Team Leader (1999 - 2002)

CNC工作機械業界のあらゆる分野で25年以上の経験を持ち、ブランドに依存しないコンサルティング、エンジニアリング、純正部品サービスを提供するCNC CAREの共同創業者として活動を続けています。

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