G64連続切削モード完全解説:CNC加工の面粗度向上と段取り手順
G64連続切削モードの基本概念からFanuc、Siemens、Mitsubishi各社パラメータ(3402番、ADIS等)の設定、Alarm PS0050やクラッシュを防ぐ段取り対策まで徹底解説。ロット間の繰り返し精度を極限まで高める高信頼加工ガイド。
はじめに
モーダルなG64(連続切削モード)の実行中に、座標オフセットやワーク原点シフト(ゼロシフト)の設定ミスが発生すると、刃物台(タレット)やスピンドルがワーク固定用のバイスの口金(バイスジョー)、テーブル上のバイスジョー、固定クランプ、あるいは回転するチャック爪に直接衝突し、工具破損や軸ボールねじの致命的な損傷、さらにはワークの廃却(スクラップ化)を招く激しい衝突事故を引き起こします。G64モードではブロックの境界における減速判定をバイパスし、プログラムされた切削送り速度のまま停止せずに連続して移動するため、わずかな設定誤差であっても即座に重大なトラブルへと直結します。特に、ストロークリミットを迂回したり、保存された領域制限(FanucのG22/G23やSiemensのWALIMONなど)を無効化したりすると、電子的な保護エンベロープが消失し、刃物台が物理的な干渉ゾーンに突入してしまう。そのため、量量運転の段取り前には、セットアップ画面でワーク座標系の原点シフト値を確実に検証し、シングルブロックによる空運転(dry run)で干渉チェックを行うことが不可欠である。
G64が座標系やモーダル設定とどのように相互作用するかを理解することは、信頼性の高い安全なツールパスをプログラムする上で極めて重要である。このパラメータが未検証のまま量産に入ると、2ロット目から寸法ばらつきが広がり、最終検査で初めて不良が発見されるといった、再現性の低下や不良品発生のリスクが高まる。G60一方向位置決めやモーダルなG61位置決めモードとは異なり、G64は各ブロックの終点での減速停止チェックを完全に無効化する。これにより、送り速度を一定に維持して刃物の滞留を防ぎ、サイクルタイムを大幅に最適化できる一方で、ロット間の繰り返し精度を維持するためには、機械パラメータとオフセットの厳密な管理が求められる。
技術概要
| 技術属性 | 仕様 |
|---|---|
| 指令コード | G64 |
| モーダルグループ | Fanuc: グループ 15(システムB/Cではグループ 13)、Siemens: グループ 10、Mitsubishi: グループ 13(マシニングセンタではグループ 19) |
| 対応ブランド | Fanuc, Siemens, Mitsubishi |
| 重要パラメータ | Fanuc: パラメータ 3402 Bit 6 (CLR), パラメータ 5000 Bit 3 (GNI); Siemens: ADIS, ADISPOS, MD 33100 COMPRESS_POS_TOL; Mitsubishi: パラメータ #1148 I_G611, サーボパラメータ #2224 sv024 |
| 主な制約事項 | ブロックの遷移時に軸が減速しないため、物理的な軸の応答遅れ(ラグ)により鋭い角部が丸くなる。 |
クイックリード
- G64の使用を決定することで減速チェックが排除され、パス速度が維持されるため、見苦しい工具滞留痕(ツールマーク)の発生を防ぎます。
- G64を有効にすると全体のサイクルタイムが短縮されますが、物理的な軸の応答遅れ(ラグ)によって鋭い幾何学的コーナーが丸くなります。
- 鋭いショルダ部や精密なワーク寸法を加工する場合は、G09またはG61を使用してG64をオーバーライドすることが必須です。
- G64のコーナー丸めパスをサイクル途中で中断すると、その後の再ポジショニング(REPOS)時に軸の偏差が発生する可能性があり、再開前に空運転を行う必要があります。
- ネジ切りまたはタッピングブロック内でコーナー丸めや面取りをプログラミングすることは禁止されており、Alarm PS0050などのアラームが即座に発生します。
- クランプやバイスの口金(バイスジョー)との高速でのハードクラッシュ(激しい衝突)を防ぐために、電子式の心押し台およびチャックバリヤを校正することが不可欠です。
基本概念
モーダルな連続切削モード(G64)は、ほとんどのCNC制御装置におけるデフォルトの切削状態であり、工具がブロックの境界を滑らかに移動できるようにします。各座標の終点で位置決めを検証するためにすべての軸を完全に減速停止させるモーダルな位置決めモード(G61)とは対照的に、連続切削モードはこれらの減速停止チェックを抑制します。途切れのない送り速度を維持することで、切削工具がワーク表面に滞留するのを防ぎ、均一な切りくず負荷を確保し、工具寿命を最大化し、滞留痕(ツールマーク)を排除しつつサイクルタイムを最小限に抑えます。
一定のパス速度を維持することによる主な機械的トレードオフは、鋭い外角の丸まりです。現在の軸が正確な目標位置に到達する前に、軸運動制御カーネルが次の座標ブロックの実行を開始するため、物理的な軸の応答遅れ(ラグ)によってコーナーが丸くなります。プログラマーはこの丸め挙動を考慮し、鋭い幾何学的遷移、ショルダステップ、または重要な公差部において、非モーダルな位置決め(G09)またはモーダルな位置決め(G61/G60)を指令して連続切削モードを選択的にオーバーライドする必要があります。
アクティブな連続切削モード下では、プログラマーおよび機械セットアップオペレーターは、ワーク座標設定、工具補正校正、および安全な逃げ領域(クリアランスエンベロープ)の定義において細心の注意を払わなければなりません。自動運転サイクルを実行する前に、未加工のワーク(素材)をバイスの口金(バイスジョー)、スピンドルチャック、またはテーブルクランプ内に物理的にしっかりと固定する必要があります。座標計算エラーが存在する場合、またはオペレーターが誤った原点シフト(ゼロシフト)を入力した場合、CNC制御装置は補正されていないツールパスをプログラムされた全送り速度で実行し、ブロック境界で停止することはありません。ストロークリミットをバイパスしたり保護障壁(バリヤ)を無効化したりすると、工具タレットまたはレボルバがバイスの口金(バイスジョー)、クランプ、またはチャック爪に直接衝突し、工具破損、軸ボールねじの損傷、およびワークの廃却を招く高速でのハードクラッシュ(激しい衝突)を引き起こします。
コマンド構造
連続切削モード指令はモーダルな命令であり、位置決めモード(正確決めチェック)やタッピングモードなど、同じモーダルグループの別の指令によってキャンセルされるまで有効です。アクティブな場合、その後のすべての直線補間および円弧補間指令に適用されます。CNCのブランドに応じて、基本的な構文に動的なパラメータ、丸め距離、または軸方向の公差範囲を追加することで、動作を停止させることなくコーナー遷移を管理できます。
主要なプログラムブロックでは、単独の準備機能命令としてG64のGコードを使用します。一部の制御システムでは、G64またはそのサブコードと共に、丸め領域を定義するための追加のアドレスがプログラムされます。これらの丸め修飾子を使用することで、最大偏差範囲または軸方向のクリアランス制限を指定し、加工速度と幾何公差のバランスを調整することができます。
G64 ;
Siemens SINUMERIKのネイティブモードでは、構文に追加のサブコードとパラメータが含まれます。
G641 ADIS=__ ADISPOS=__ ;
G642 ;
G643 ;
G644 ;
| パラメータ / アドレス | CNC制御システム | 機能および設定範囲 |
|---|---|---|
| Parameter 3402 Bit 6 (CLR) | Fanuc | モーダルGコードのクリア状態。0 = リセット時にグループ 15/13のモーダルを維持、1 = デフォルトのG64にリセット。 |
| Parameter 3453 Bit 4 (FRC) | Fanuc | コーナー送り速度制御。1 = Eまたは,Eを介して指令、0 = 通常のF。 |
| Parameter 5000 Bit 3 (GNI) | Fanuc | 工具径補正キャンセルブロックのベクトル計算。0 = 前のブロックの終点に対して垂直、1 = レガシーパス。 |
| ADIS | Siemens | パス機能G01, G02, G03用の丸めクリアランス距離。0に設定した場合は無効。mmまたはインチ単位の実数値。 |
| ADISPOS | Siemens | G00位置決め(早送り)ブロック専用の丸めクリアランス距離。0に設定した場合は無効。mmまたはインチ単位の実数値。 |
| MD 33100 COMPRESS_POS_TOL | Siemens | G642またはG643下で更新される軸固有の精度公差。実数値。 |
| Parameter #1148 I_G611 | Mitsubishi | 電源投入時のグループ 13/19の初期モーダル状態。0 = 標準のG64、1 = 高精度制御G61.1。 |
| Parameter #1151 rstint | Mitsubishi | NCリセット時のモーダル状態初期化設定。0 = アクティブなG64を維持。 |
| Servo Parameter #2224 sv024 | Mitsubishi | G64から位置決めモード(正確決め)への移行時における軸の応答遅れ(ラグ)の許容値を示すインポジション幅。実数値。 |
ブランド別応用
Fanuc
Fanucシステムでは、G64は減速停止チェックを無効化するモーダルなグループ 15(またはグループ 13)の指令です。起動時のデフォルト状態は機械パラメータの設定によって決定されます。
G64 ;
| カテゴリ | システム項目 | 説明 |
|---|---|---|
| Parameter | Parameter 3402 Bit 6 | Gコードのモーダル初期化を設定。0 = 維持、1 = デフォルトのG64にリセット。 |
| Parameter | Parameter 5000 Bit 3 | 工具径補正ベクトル計算。0 = 通常、1 = レガシーパス。 |
| Alarm | Alarm PS0050 | CHF/CNR NOT ALLOWED IN THRD BLK。ネジ切り/タッピングブロックで面取り/コーナー丸めがプログラミングされています。 |
| Alarm | Alarm PS0051 | MISSING MOVE AFTER CNR/CHF。コーナー処理の直後のブロックでG01がプログラミングされていません。 |
| Version Difference | Series 16i/18i/21i vs. 30i | 最新のSeries 30i/31i/32i-B Plusでは、座標移動がない場合のG40キャンセルブロック動作の制御にParameter 5000 Bit 3 (GNI)を使用します。 |
パラメータ5000を構成せずに最新の制御装置でレガシープログラムを実行すると、軸が外れ、予期せぬ過切削や未切削が発生する可能性があります。
Siemens
SiemensのネイティブSINUMERIKモードでは、G64はグループ 10に属し、サブコードと組み合わせて正確なコーナー丸めを定義できます。インタープリタを切り替えることで、ISOダイアレクト翻訳が有効になります。
G641 ADIS=0.5 ADISPOS=1.0 ;
| カテゴリ | システム項目 | 説明 |
|---|---|---|
| Parameter | ADIS | パス機能G01, G02, G03用の丸めクリアランス距離。0に設定した場合は無効。 |
| Parameter | ADISPOS | G00位置決め(早送り)ブロック専用の丸めクリアランス距離。0に設定した場合は無効。 |
| Alarm | Alarm 14800 | チャネル設定されたプログラムパス送り速度がゼロ以下。F0がプログラミングされており、固定送り速度が無効。 |
| Alarm | Alarm 61800 | 外部CNCシステムが見つかりません。MD 18800が無効なときにG291 ISOダイアレクトモードに切り替えました。 |
| Version Difference | 840D sl vs. 802D sl | ハイエンドGグループ 20の多角切削指令(G51.2, G50.2)は840D slでサポートされていますが、802D slでは省略されています。 |
丸め値をゼロにするか、完全に省略すると、コーナー丸めは暗黙的に無効化され、制御装置は標準の連続切削モードに戻ります。
Mitsubishi
Mitsubishiシステムでは、G64はモーダルなグループ 13に属し、起動パラメータで構成されている場合は電源投入時にデフォルトになります。
G64 ;
| カテゴリ | システム項目 | 説明 |
|---|---|---|
| Parameter | Parameter #1148 I_G611 | 電源投入時のグループ 13/19の初期モーダル状態。0 = G64、1 = G61.1高精度。 |
| Parameter | Servo Parameter #2224 sv024 | G64から位置決めモード(正確決め)への移行時における軸の応答遅れ(ラグ)の許容値を示すインポジション幅。 |
| Alarm | プログラムエラー (P129) | パラメータ #8040が0のときに、高精度または高速制御が指令されました。 |
| Alarm | プログラムエラー (P128) | G96、G41/G42、G07.1、またはユーザーマクロがアクティブな間にG120.1/G121が指令されました。 |
| Version Difference | Mode 2 (M8シリーズ) | Mode 2 (M8シリーズ)は、特定のパラメータ下でG01に続くG00の早送りブロックのオーバーラップをサポートしています。標準の制御装置ではサポートされていません。 |
手動アブソリュート座標介入後に工具を復帰させずにプログラム実行を再開すると、その後のすべての動作が元のパスから逸脱します。
ブランド比較
| 比較項目 | Fanuc | Siemens | Mitsubishi |
|---|---|---|---|
| 切替構文 | パラメータ 3401に基づいて、グループ 15/13の下でフラットにモーダルマッピングされます。 | G290(Siemensネイティブ)とG291(ISOダイアレクト)によるデュアルインタープリタ切り替え。 | G188(マシニングセンタ)とG189(旋盤)によるバイモーダルプログラムフォーマット切り替え。 |
| 丸め設定 | 先行制御パラメータおよび手動コーナーオーバーライドにより設定されます。 | 個別のモーダルGコード(G641 ADISクリアランス、G642/G643軸公差、G644動的応答)。 | サーボパラメータ #2224 sv024のインポジション幅により設定されます。 |
| インターロック / コンパイラチェック | G64による補正が有効な状態でG31スキップが発行されると、厳しいインターロックによりAlarm PS0064が発生します。 | ステータス変数($A...)の照会やMSGコマンドの実行により、即座にプリプロセッサの停止および減速停止チェックが発生します。 | G64が有効な状態でも手動任意逆走(G127)が動作し、モーダルはモーダル記憶ブロックに保持されます。 |
| ネジ切りとCSS(周速一定)の相互作用 | ネジ切りブロック内でG64実行中にコーナー面取り(,C)またはコーナー丸め(,R)を行うと、Alarm PS0050が発生します。 | F0切削速度を指令すると、Alarm 14800が発生します。 | G64下で同一系統内にCSSが有効な場合、主軸速度は自動的にネジ切りブロック速度に固定されます。 |
技術解析
ブランド間における主要な設計上の相違点の一つは、モーダルグループシステム内でG64連続切削動作がどのように管理されているかにあります。Fanucは、アクティブな座標系に応じて、統合されたフラットなGコードグループ構成(グループ 15またはグループ 13)の内部でG64のモーダル処理をネイティブに統合しています。パラメータを調整することで、Fanucは旋盤およびフライス盤のフォーマット間でモーダルテーブルを動的にマッピングできます。これに対し、Siemensはバイリンガルなコンパイラモデルを採用しており、ネイティブのSINUMERIKモードはグループ 10の下で連続切削モードをモーダルに管理しますが、インタープリタがG291を介してISOダイアレクトモードに明示的に切り替えられた場合にのみ、レガシーなFanucスタイルのG64ブロックを解析できます。Mitsubishiは、標準的なG64切削モードの選択をバイモーダルなプログラムフォーマット切替コンパイラ(G188/G189)と統合し、マシニングセンタと旋盤のフォーマット間で座標レジスタとモーダルGコードを動的にマッピングすることでこれに対処しています。
コーナー丸めの特性をカスタマイズおよび制御するために使用される方法も、もう一つの大きな違いです。Siemensは、軸方向のダイナミクスと公差に基づいて、コーナー丸め動作を複数の専用のGコードに分類しています。これには、軸方向の精度公差を伴うコーナー丸め(G642/G643)や、最大の動的応答(G644)のための個別のモーダル指令が含まれます。これにより、SINUMERIKの先行制御コンパイラは、ブロックごとに軸速度と加速度を動的に最適化できます。しかし、FanucとMitsubishiはコーナーの減速を管理するためにフラットなパラメータ構成と先行制御設定に依存しており、Mitsubishiはインポジション幅を定義するために特定のサーボパラメータ(sv024)を使用し、Fanucはパラメータ駆動型の先行制御設定を使用しています。
アクティブな連続切削モード中のコンパイラチェックとインターロックを見ると、さらなるシステムのバリエーションが明らかになります。Fanucは厳格なソフトウェアインターロックを強制しており、G64下でアクティブな工具半径補正中にG31スキップ指令が発行されると、即座にプログラムエラーをトリガーします。SiemensとMitsubishiは、より柔軟なマルチレベルのプリプロセッサスタックで先行制御の事前読み込みバッファを処理します。しかし、SiemensはMSGテキスト出力が処理されるか、あるいは「$A...」で始まるシステム変数が照会されると、G64モード中に暗黙の正確決めチェックを実行し、これにより即座にプリプロセッサの停止が発生します。一方、MitsubishiはアクティブなG64中での手動任意逆走(G127)を許可し、Gコードモーダルをモーダル情報記憶ブロック内にアクティブに保持することで、軸のドリフトや座標の問題を防ぎます。
プログラム例
Fanucの例
G64 ;
G01 X150.0 Z-50.0 F200.0 ;
G61 Z-80.0 ;
G64 G01 X200.0 Z-100.0 ;
空運転
オペレーターは、刃物台(タレット)をロードした状態で、シングルブロックモードにて空運転を開始します。ブロック1でモーダルな連続切削モードが有効になり、ブロック境界での位置確認がオフになります。ブロック2では、送り速度200.0で座標 X150.0、Z-50.0 まで工具を直線移動させ、減速せずに座標終点を通過します。ブロック3で切削モードをキャンセルしてモーダルな位置決めモード(正確決め)に切り替え、Z軸を Z-80.0 で完全に停止させてショルダ部の座標位置合わせを確認します。ブロック4で位置決めモードをキャンセルし、次の X200.0、Z-100.0 への直線切削のために連続切削モードに戻ります。
Siemensの例
N10 G290 ;
N20 G17 G64 G01 X100.0 Y50.0 F1200.0 ;
N30 G641 ADIS=0.5 G01 X150.0 Y100.0 ;
N40 G60 G601 X200.0 Y150.0 ;
空運転
プログラムの空運転中、ブロック N10 でコンパイラをネイティブのSINUMERIKモードに切り替えます。ブロック N20 でXY平面を選択し、連続切削モード(G64)を有効にし、送り速度1200.0で X100.0、Y50.0 まで直線補間を行い、減速せずに境界を通過します。ブロック N30 で丸めクリアランス半径 0.5 mm の G641 移行丸め指令を行い、制御システムが停止することなく X150.0、Y100.0 へのコーナー移行をブレンドできるようにします。ブロック N40 で精位置決めウィンドウ(G601)を伴う G60 モーダル正確決め位置決めモードを指令し、主軸または工具レボルバを X200.0、Y150.0 で完全に減速停止させ、座標公差を検証します。
Mitsubishiの例
G64 ;
G01 X150.0 Y75.0 F200.0 ;
G61 Z-50.0 ;
G64 G01 X200.0 Y100.0 ;
空運転
オペレーターは空運転を監視します。ブロック1で連続切削モードが有効になり、後続の切削送りブロックがスムーズに移行します。ブロック2は減速なしで終点座標 X150.0、Y75.0 への直線切削を実行します。ブロック3で切削モードを無効にして位置決めモード(正確決めチェック)に切り替え、刃物台(タレット)を Z-50.0 で完全に停止させて座標位置合わせを確認します。ブロック4で位置決めモードをキャンセルし、X200.0、Y100.0 への連続切削送り動作を再開します。
エラー解析
| ブランド | アラームコード | 発生条件 | オペレーター側の症状 | 原因と対策 |
|---|---|---|---|---|
| Fanuc | Alarm PS0050 | ネジ切りまたはタッピングブロック内で面取り/コーナー丸め(,Cまたは,R)がプログラミングされた。 | ネジ切り加工が開始される直前で実行が一時停止し、アラームコードが表示される。 | G32, G33, G63などのネジ切り/タップブロックでコーナー丸めや面取りを指定しないようにする。 |
| Fanuc | Alarm PS0051 / PS0052 | コーナー処理に続くブロックの移動指令が直線補間(G01)ではない。 | 工具がコーナーパスの終点で停止し、CNCシステムがGコードエラーをスローする。 | コーナー丸めや面取りの直後のブロックがG01でプログラムされていることを確認する。 |
| Siemens | Alarm 14800 | アクティブな固定送り速度がない状態で、パス送り速度F0で切削指令がプログラムされた。 | ブロックの遷移時に機械の実行が停止し、ステータス画面に送り速度ゼロのエラーが表示される。 | ゼロより大きい送り速度(F値)をプログラミングするか、CNC設定で固定送り速度オプションを有効にする。 |
| Siemens | Alarm 61800 | MD 18800またはオプションビット 19800が無効なときに、G291 ISOダイアレクトモードに切り替えた。 | インタープリタがプログラムブロックのコンパイルに失敗し、CNCシステム欠落アラームが発生する。 | 機械データパラメータ MD 18800を設定するか、対応するオプションビット 19800を有効にする。 |
| Mitsubishi | プログラムエラー (P129) | パラメータ #8040が0のときに、高精度/高速制御が指令された。 | プログラムの実行が停止し、オペレータパネルにパラメータエラーアラームが表示される。 | パラメータ #8040を有効にして、該当系統での高精度制御の同時使用を許可する。 |
| Mitsubishi | プログラムエラー (P128) | G96、G41/G42、G07.1、またはユーザーマクロがアクティブな間にG120.1/G121が指令された。 | 先行制御バッファチェックが失敗し、加工条件選択への移行中に実行が停止する。 | G120.1/G121を呼び出す前に、工具径補正、周速一定制御、または円筒補間を解除する。 |
実務応用ノウハウ
段取り前に3402番パラメータを確認することで、このコマンドで最も多い非計画停止を防げる。特に、リセットや電源投入時にモーダル情報が意図せず初期化され、G64からG61(正確決めモード)に切り替わると、急激な加減速による衝撃で機械に負荷がかかるだけでなく、最悪の場合はロット間での加工形状の再現性が低下する。さらに、Fanucにおける5000番パラメータのBit 3(GNI)の設定ミスや、Mitsubishiのサーボパラメータ2224番(sv024)のインポジション幅の不一致は、累積的な寸法誤差や角部の削りすぎ(オーバーカット)を誘発し、量産時の製品ばらつきを拡大させる直接的な原因となる。
このパラメータが未検証のまま量産に入ると、2ロット目から寸法ばらつきが広がり、最終検査で初めて不良が発見される。また、刃具の摩耗や機械熱変位と相まって再現性が低下し、深刻な不良品発生につながる。また、Siemens制御システムにおいてADISやADISPOSパラメータを0のまま放置すると、コーナー丸めが暗黙的に無効化され、サイクルタイムが想定以上に遅延したり、予期せぬ減速チェックにより加工面に段差(ツールマーク)が生じて繰り返し精度が損なわれたりする。実務における最優先事項は、加工前の段取り時にこれら各制御システム固有のパラメータおよび警告コード(FanucのAlarm PS0050やSiemensのAlarm 14800など)の発生条件を完全に把握し、ワークをバイスの口金(バイスジョー)やテーブル上のバイスジョー、固定クランプ、あるいはチャック爪に固定する前にシミュレーションと原点確認を徹底することである。
関連コマンド
- G09:指令されたブロックでのみ減速して位置を確認し、一時的にG64をオーバーライドする非モーダルな位置決めモード。
- G61:連続切削モードを解除し、すべてのブロックの終点で位置確認を行うモーダルな位置決めモード。
- G62:コーナー部で減速して工具寿命と加工面粗度を向上させるために、連続切削モードを解除する自動コーナーオーバーライド。
- G63:ネジ切り中の送りオーバーライドやシングルブロック停止を無効化するために、G64をモーダルに解除するタッピングモード。
- G22/G23(またはG25/G26):チャックやクランプとの衝突から機械を保護する電子的な障壁(バリヤ)を形成する、ストアドストロークリミットおよび領域制限。
おわりに
高信頼性の連続加工とロット間での厳密な繰り返し精度を維持するためには、G64連続切削モードの特性を深く理解し、形状精度が要求される部位にはG09やG61といった正確決めコマンドを適切に使い分けるプログラム設計が不可欠である。特に量産ラインにおいては、段取り替え時のパラメータ照合手順を標準動作手順書(SOP)に組み込み、機械稼働前の原点確認と干渉チェックを徹底することが、偶発的なツールクラッシュや非計画停止を防ぐ唯一の道である。設備ごとの特性差をあらかじめ制御パラメータに正しく反映させることが、長期的な生産信頼性の確保につながる。
よくある質問
G64モードを使用時に、量産ロット間で製品寸法にばらつきが生じる原因は何ですか?
連続切削モード(G64)では、加減速停止チェックが行われないため、サーボモーターの応答遅れ(サーボラグ)が物理的な形状誤差となって現れます。特に工具の摩耗や切削抵抗の変化に伴って送り速度や負荷が変動すると、コーナー部の回り込み量(角の丸まり)が変化し、ロット間の寸法ばらつきを悪化させます。量産前に各ロットの代表ワークを三次元測定機で測定し、必要に応じてG09を挿入して機械のサーボ応答性を補正してください。
Fanuc制御盤でG64使用時に発生するAlarm PS0050を回避するためのパラメータ設定はありますか?
Alarm PS0050(ネジ切りブロックでの面取り・コーナー丸め指定不可)は、ネジ切り(G32/G33)またはタッピング(G63)ブロック内に「,C」や「,R」のブレンド指令が存在する場合にシステムが自動で検出する構文エラーであり、パラメータ設定でこのアラームを無効化することはできません。ネジ切りブロックの前後にG01とG61/G64を明示的に記述し、ブレンド形状をネジ切りサイクルから完全に分離してください。
Siemens機でG64からG60に切り替えた際、加工面が急に粗くなるのを防ぐにはどうすればよいですか?
G60への切り替えにより各ブロック終点で軸が完全に一時停止するため、ワーク表面に工具の滞留痕(ツールマーク)が残り、面粗度(表面粗さ)が低下します。これを回避するには、単に停止させるのではなく、G642またはG643モードを使用して許容公差の範囲内で連続パスを実行させます。プログラム内でMD 33100のCOMPRESS_POS_TOLパラメータに適切な公差値を設定し、G642またはG643をアクティブにしてください。
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- CNC CARE Co-Founder (May 2025 - Present)
- Mitsubishi Electric NC Sales & Service Section Manager (2008 - 2025)
- Reis CNC Service Engineer (2003 - 2008)
- Ören Kalıp CNC Mold Line Team Leader (1999 - 2002)
CNC工作機械業界のあらゆる分野で25年以上の経験を持ち、ブランドに依存しないコンサルティング、エンジニアリング、純正部品サービスを提供するCNC CAREの共同創業者として活動を続けています。
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