G73パターン繰返しサイクル:CNC旋盤プログラミング完全ガイド
Fanuc、Siemens、MitsubishiにおけるG73パターン繰返し(閉ループ)サイクルを徹底解説。ワークへの衝突を防ぎ、寸法ばらつきを抑えるパラメータ調整やアラーム回避、各社の指令フォーマット比較まで網羅。
はじめに
CNC旋盤の段取りにおいて、刃先が鋳造粗材や鍛造ブランクの未加工部に直接干渉したり、リトラクト時にチャックやバイスジョー、クランプ、あるいはタレットに激突するハードクラッシュは、工作機械の致命的な破損と超硬インサートの粉砕、そして高価な被削材を台無しにする不良品発生を招く最悪の生産トラブルです。この破壊的なトラブルは、G73パターン繰返しサイクルの開始点(クリアランス平面)座標の計算ミスや、インクリメンタルな逃げ量の設定誤りによって引き起こされます。このパラメータが未検証のまま量産に入ると、2ロット目から寸法ばらつきが広がり、最終検査で初めて不良が発見されるという深刻な事態に陥ります。量産段取り前に5135番パラメータ(FanucのX軸逃げ量)や#8053番パラメータ(MitsubishiのX軸切削余裕量)を確認することで、このコマンドで最も多い非計画停止を防ぐことができます。これらの制御パラメータの検証を疎かにすることは、直接的に製品の再現性の低下と不良品発生につながるため、量産ラインでの安定稼働には厳格な検証手順が必須です。
技術概要
| 項目 | 仕様詳細 |
|---|---|
| 指令コード | G73 |
| モーダルグループ | グループ00 (非モーダルサイクル) / 複数繰返し固定サイクル |
| 対応ブランド | Fanuc, Siemens, Mitsubishi |
| 最重要パラメータ | Parameter 5135/5136 (Fanuc X/Z escape), GUD7 _ZSFI[1] (Siemens X escape), #8053/#8054 (Mitsubishi X/Z allowance) |
| 主な制約事項 | 経路はポケットの反転や自己交差がなく、X軸およびZ軸方向に単調変化しなければなりません。 |
クイックリード
- 粗材の外側にサイクル開始点を定義する: 工具が粗材に干渉せずに安全領域に退避できるよう、サイクル開始点は粗材ワークの最大外形寸法境界の外側の安全な位置に配置してください。
- G73フォーマット選択ビットの検証: Mitsubishiのパラメータ #1265 ext01/bit0 を確認し、制御装置が標準 of 2ブロック形式と独自の1ブロック構文のどちらを想定しているかを判定します。
- 輪郭経路の単調変化を保証する: シーケンス番号間のプロファイルは、両方の軸において連続的に増加または減少する座標でプログラミングしてください。単調変化しない経路は輪郭生成エラーの原因となります。
- 最初のブロックは直線動作にする: 形状プログラム内の最初の移動ブロック(シーケンス番号 P を含むブロック)は、必ず G00 または G01 の直線移動指令とし、決して G02 や G03 の円弧補間は使用しないでください。
- 逃げ量パラメータの正確な設定: Fanucの Parameter 5135 (X軸) および Parameter 5136 (Z軸) を設定し、手動計算を行うことなく正確な逃げ量を制御します。
- SiemensのMDAモードでは絶対に実行しない: G73サイクルは自動運転モードでのみプログラムおよび実行してください。Manual Data Automatic (MDA) モードで実行を試みると、Alarm 14011 がトリガーされます。
基本概念
G73パターン繰返しサイクルは、最終仕上げ輪郭にすでに近い形状を持つワークピースに対し、複数パスの輪郭荒削りを自動化します。直線的なパスを実行し、事前加工された形状の上の空気を切削してしまう標準的な荒削りサイクルとは異なり、G73は高度に構造化された方法で材料にステップダウンする平行なオフセット経路を作成します。このプロセスは、鋳造品、鍛造品、またはプリフォームド粗材の加工に極めて効果的であり、実際に原材料が存在する部分に工具の動きを集中させることで、プログラミング時間とサイクルタイムを大幅に削減します。
このサイクルは、指定された切削代と逃げオフセットに基づいて、最終的にプログラムされたプロファイルをインクリメンタルに外側へシフトすることによって機能します。一連の分割パスを通じて、制御装置は工具経路を自動的に再計算し、鋳物に均等にステップダウンしていきます。最終加工パスが仕上げ部品の輪郭と平行になるため、非常に均一な仕上げ代が維持され、その後の仕上げ加工において一定の切りくず負荷と予測可能な工具摩耗をもたらします。
コマンド構造
G73を実行するには、第1ブロックで切削パラメータを定義し、第2ブロックでターゲットのプロファイル座標を定義するという、明確な構文分割が必要です。第1ブロックは、絶対座標または増分座標の逃げ(エスケープ)距離と分割回数を指定し、生成する荒削り層の数を制御装置に伝えます。これにより、オペレーターは指令ブロックや制御パラメータから切り込み深さを簡単に調整できます。
第2ブロックは、仕上げ代や切削送り速度とともに、輪郭形状プログラムの開始シーケンス番号と終了シーケンス番号を参照します。CNCはこれらのシーケンス番号の間のブロックをスキャンし、幾何形状を計算して平行な工具経路をスケール調整します。形状プログラム自体は、標準の絶対座標または増分座標で記述でき、ワークの仕上がり寸法を定義します。
; FanucおよびSiemensの2ブロック構文: G73 U(Δi) W(Δk) R(d) ; G73 P(ns) Q(nf) U(Δu) W(Δw) F_ S_ T_ ;; Mitsubishiの2ブロック構文: G73 Ui Wk Rd ; G73 Aa Pp Qq Uu Ww Ff Ss Tt ;
; Mitsubishi CNC特別1ブロック構文: G73 P_ Q_ U_ W_ I_ K_ D_ F_ S_ T_ ;
| アドレス / パラメータ | 機能説明 |
|---|---|
U (第1ブロック) または Δi | X軸方向の逃げ距離(半径指定)。 |
W (第1ブロック) または Δk | Z軸方向の逃げ距離。 |
R (第1ブロック) または d | 分割荒加工パス数(繰返し回数)。 |
P または ns | 輪郭形状プロファイルの開始シーケンス番号。 |
Q または nf | 輪郭形状プロファイルの終了シーケンス番号。 |
U (第2ブロック) または Δu | X軸方向の仕上げ代(直径指定)。 |
W (第2ブロック) または Δw | Z軸方向の仕上げ代。 |
I | Mitsubishi of 1ブロック形式におけるX軸切削余裕量。 |
K | Mitsubishi of 1ブロック形式におけるZ軸切削余裕量。 |
D | Mitsubishi of 1ブロック形式における分割回数。 |
A | Mitsubishiにおける仕上げ形状プログラム番号または英数字のファイル名。 |
F, S, T | 加工送り速度、主軸速度、工具選択。 |
ブランド別応用
Fanuc
Fanucシステムにおいて、G73はワークプロファイルと平行な複数の荒加工パスを自動計算する非モーダルなサイクルであり、鋳造品や鍛造品を旋削する際の数百行ものコード作成を省くことができます。クリアランスと逃げ値は2つの重要なパラメータで定義されます。Parameter 5135がX軸の逃げ距離を設定し、Parameter 5136がZ軸の逃げ距離を設定します。
G-codeは2ブロックサイクルとして実装され、最初のブロックがオフセットと分割回数を設定し、2番目のブロックが輪郭境界と仕上げ代を定義します。
| パラメータ | アラーム | バージョンによる違い |
|---|---|---|
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警告:パラメータ5123#1 (HMC)を介して高速ブロック間移動が有効な場合、オペレーターはサイクル途中でプログラムのクイック再起動を行ってはなりません。バッファのバイパスは「DATA IS INCORRECT」警告を誘発し、予期せぬ危険な工具動作につながるリスクがあります。
Siemens
Siemensシステムにおいて、G73はプリフォームされた鋳鉄や鍛造品粗材の最終輪郭に平行な効率的な材料除去を可能にします。上級プログラマは、Siemensコントローラのメモリ内にあるGUD7パラメータ ZSFI[1] を介して、加工中にX軸の逃げ距離を動的に調整することができます。
G-codeは標準のISO Dialect構文に従っており、現代のSiemens制御装置上で従来のマルチブロック繰返し固定サイクルをシームレスに実行できます。
| パラメータ | アラーム | バージョンによる違い |
|---|---|---|
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警告:MDAモード内でG73を実行しようとすると、チャネルが即座に麻痺し、Alarm 14011 が出力されてシステム全体のフルリセットが必要になります。
Mitsubishi
Mitsubishi旋盤(L)システムにおいて、G73(型材荒切削サイクル)は輪郭に平行な工具経路を計算し、凹凸のある鋳造形状での不要な直線切削を回避します。切削余裕量と分割数は可逆パラメータに関連付けられており、パラメータ #8053 にX軸余裕量、パラメータ #8055 に分割数が格納されます。
G-codeは、レガシープログラムの構成を最適化するため、従来の2ブロック構文と独自の1ブロック形式である「MITSUBISHI CNC特別フォーマット」の両方をサポートしています。
| パラメータ | アラーム | バージョンによる違い |
|---|---|---|
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警告:仕上げ形状プログラムが最大ブロック制限を超えると、制御装置は即座に実行を停止し、Alarm P202 (ブロックオーバー) をトリガーするため、プロファイルの簡略化が必要になります。
ブランド比較
| 比較項目 | Fanuc | Siemens | Mitsubishi |
|---|---|---|---|
| 基本構文 | G73 U W R_ / G73 P_ Q_ U_ W_ による2ブロック構造 | Fanucと同様(ISO Dialect A/Bモード時) | 標準2ブロックおよび独自の1ブロック構文の両方 |
| パラメータ調整 | 標準システムパラメータ (5135, 5136, 5137) | グローバルユーザーデータ(GUD)変数 (例: _ZSFI[1]) | 可逆的なHMI対話型パラメータ (#8053-#8055) |
| シーケンスチェック | シーケンス終了点の事前スキャン(QSRオプション) | ネイティブサイクル形式へのバックグラウンドシェルマッピング | 厳格なブロック制限 / 円弧輪郭進入時のアラーム |
| ダイアレクト切り替え | 運動学的な分割(旋盤G73対フライスG73.7) | モードCではG73の機能が完全にG71へシフト | L対Mシステムの機能分割(ペックドリル対荒削りサイクル) |
| 外部ファイル形状呼び出し | 数値シーケンス範囲のみ | 従来のサブプログラムシーケンス番号 | 山括弧内の英数字ファイル名 <NAME> |
技術解析
各制御装置のアーキテクチャを分析すると、それぞれのブランドが根本的に異なる実行エンジンを通じてパターン繰返しの計算を処理していることが明らかになります。Fanucは、安全性を維持するために、ハードコーディングされたシステムパラメータと厳密なブロックチェックに大きく依存しています。シーケンス番号事前チェック(パラメータ 5102#2 QSR)などの機能を統合することにより、Fanuc制御は機械の軸が動き出す前にプログラムをスキャンして終了シーケンスブロックの存在を検証します。これは、不完全な形状定義の実行に対する数学的なセーフガードとして機能します。
これに対し、SiemensはISOのG73コマンドを高度な「シェルサイクル」アーキテクチャに抽象化しています。制御装置がG73を検出すると、直接的な低レベルのルーチンを実行するのではなく、アドレスを解析し、それらをチャネル固有のグローバルユーザーデータ(GUD)にマッピングして、Siemensオリジナルの標準サイクルを実行します。このアプローチにより、レガシーなISOコードが現代の高速な閉ループアルゴリズムの恩恵を受けることが保証されます。さらに、Siemensの動的なダイアレクト切り替えは非常に劇的であり、ISO Dialect Mode Cに切り替えると、G73が標準の縦方向荒削りサイクル(G71機能)に完全に再割り当てされ、パターン繰返しはG75に移行します。
Mitsubishiは、可逆パラメータとHMIの対話型調整をG-codeの実行と直接統合することにより、オペレーター中心の高度なアプローチを採用しています。切削余裕量と分割パス数は、パラメータ #8053、#8054、および #8055 にリンクされています。この独自のアーキテクチャにより、オペレーターは工場のHMI画面上でリアルタイムに加工調整を行うことができ、これによりサイクルのパラメータが即座に更新され、またその逆も可能です。さらに、Mitsubishiは山括弧で囲まれた英数字の形状プログラムファイル名(例: <FORGED_PROFILE>)と、プログラムサイズを大幅に削減しファイル整理を合理化する簡縮されたシングルブロック形式の両方をサポートする唯一の制御装置です。
プログラム例
Fanuc Example
; Fanuc: G73 U5.0 W2.0 R4;
; Fanuc: G73 P100 Q200 U0.5 W0.1 F0.25;
; Fanuc: G70 P100 Q200;空運転 (dry run): 工具は鋳造粗材の外側にあるサイクル開始点に急速送りされます。最初のG73ブロックはX軸の逃げ量 5.0 mm(半径)とZ軸の逃げ量 2.0 mmを読み込み、材料を4回の荒加工パスに分割します。2番目のG73ブロックはシーケンスブロック N100 から N200 を呼び出し、X軸に 0.5 mm、Z軸に 0.1 mmの仕上げ代を残し、送り速度 0.25 mm/rev で加工します。制御装置は4回の平行加工パスを計算し、パスごとに形状に近づきます。各パスの終わりに、工具は逃げ動作を行って開始座標に戻ります。G70はプロファイル上の最終的な仕上げパスを実行し、残った取り代を除去します。
Siemens Example
; Siemens: G99 G00 X200 Z10 M3 S500
; Siemens: G73 U1.0 W1.0 R3
; Siemens: G73 P14 Q19 U0.5 W0.3 F0.3空運転: G99によって回転送り(送りの単位)が設定され、スピンドルが 500 rpm で回転しながら X200 Z10 へ急速送りされます。最初のG73ブロックはX軸およびZ軸の両方に 1.0 mm の逃げ距離を指定し、分割数は 3 とします。2番目のG73ブロックはブロック N14 から N19 までの輪郭繰返しを実行し、X軸に 0.5 mm、Z軸に 0.3 mm の仕上げ代を適用し、送り速度 0.3 mm/rev で加工します。制御装置はこれらの値をグローバルユーザーデータ(GUD)にマッピングし、最適化されたシェルサイクルを実行します。工具は3回の平行荒削りカットを実行し、最終的な仕上がり形状に平行にステップダウンします。最終荒加工パスの後、工具は自動的に開始点(X200 Z10)へ急速送りで戻ります。
Mitsubishi Example
; Mitsubishi: G73 P10 Q20 U0.5 W0.2 I5.0 K2.0 D3 F0.3 ;空運転: 1ブロックのG73コマンドが実行され、シーケンス番号 N10 と N20 の間で定義された仕上がり形状を呼び出します。制御装置は、ブロックからX軸切削余裕量 I5.0 (5.0 mm) とZ軸切削余裕量 K2.0 (2.0 mm) を直接読み取ります。材料除去を3パスに分割し(D3)、仕上げ送り速度 0.3 mm/rev、X軸に 0.5 mm (U0.5) 、Z軸に 0.2 mm (W0.2) の仕上げ代を残します。制御装置はこれらの値をパラメータ #8053 と #8055 に動的に書き込みます。機械は3回の平行輪郭パスを実行し、各パスの後に開始位置に退避します。最終的な荒削りプロファイルが確立され、仕上げサイクルのために均一な取り代が残されます。
エラー解析
| アラームコード | トリガー条件 | オペレーターへの影響 | 根本原因 / 対策 |
|---|---|---|---|
| Fanuc PS0321 | 分割回数がゼロまたは負の数値として指定されています。 | サイクルが始まる前に機械が停止し、HMI画面にアラームが表示されます。 | Rアドレスが最初のG73ブロックで0、負の数値、あるいは未指定です。対策:Rアドレスの値を正の整数(例: R4)に修正します。 |
| Fanuc 061 | G70-G73の呼び出しブロックにPまたはQのブロック境界が見つかりません。 | 制御装置がブロックを拒否し、プログラムの実行を即座に停止します。 | 2番目のG73ブロックでシーケンス番号PまたはQが省略されています。対策:正しい開始(P)および終了(Q)シーケンス番号をプログラミングします。 |
| Fanuc PS0325 | 形状プログラム内に禁止コマンドが配置されています。 | プログラムの途中またはサイクルの事前スキャン中に機械が停止し、エラーが表示されます。 | PおよびQシーケンスブロックの間に、使用できないGコードまたはMコードが挿入されています。対策:禁止コマンドを削除するか、Parameter 5106#2 (NT1) を1に設定します。 |
| Siemens 14011 | MDAモード内でG73サイクルが実行されました。 | チャネルが即座に麻痺し、システム全体のフルリセットが必要になります。 | MDAモード内で複数繰返しサイクルをプログラミングしています。対策:プログラムを自動運転モードでのみ実行します。 |
| Siemens 61801 | サイクル呼び出しで誤ったGコードが選択されたか、設定データが不正です。 | 固定サイクルが実行できず、画面に設定エラーが表示されます。 | アクティブなGコードシステムが正しく選択されていないか、無効な数値変数がプログラムされています。対策:アクティブなダイアレクト設定とサイクル設定パラメータを検証します。 |
| Mitsubishi P32 | 1ブロック形式用に設定されている状態で、アドレスRまたはAが指令されました。 | G73ブロックの読み込み時にプログラムが即座にエラーとなります。 | パラメータ #1265 が1の状態で、標準の2ブロックアドレス(R/A)が指令されています。対策:これらのアドレスを省略するか、パラメータ #1265 を0に変更します。 |
| Mitsubishi P33 | 従来の2ブロック形式において、固定サイクルの第1ブロックが省略されています。 | 固定サイクルブロックで機械が停止し、プログラムエラーとなります。 | パラメータ #1265 が0に設定されていますが、2番目のG73ブロックしかプログラムされていません。対策:両方のG73ブロックをプログラミングします。 |
| Mitsubishi P191 | 指定された切削余裕量と退避方向の符号がプロファイルと一致しません。 | 工具経路の計算に失敗し、プログラムが停止してエラーとなります。 | 余裕量(U, W, I, K)の増分座標の符号(+/-)が、プロファイルの移動方向と矛盾しています。対策:幾何形状の符号をサイクルの移動方向に一致するように調整します。 |
| Mitsubishi P202 | 形状プログラムが最大制限を超えてブロックオーバー(MRC)となりました。 | 機械のメモリバッファがオーバーフローし、即座にプログラムが停止します。 | プロファイルプログラム(PとQの間)に50または200ブロック以上が含まれています。対策:プロファイル形状を簡略化するか、英数字の形状呼び出しを使用して外部ファイルを呼び出します。 |
実務応用ノウハウ
工具が鍛造品の不均一な肉厚部に衝突し、主軸やタレットに莫大な過負荷がかかるという致命的な結果は、G73パターン繰返しサイクルの開始点設定とインクリメンタル符号の不一致から生じます。例えば、Mitsubishiの制御システムにおいて、切削余裕量と逃げ量のインクリメンタル符号(プラス・マイナス)が仕上げ輪郭の加工方向と一致していない場合、即座にプログラムエラーP191がトリガーされ、システムが非計画停止します。これと同様に、Fanucにおいて最初のG73ブロックに設定する割数R(繰返し回数)を誤って「0」や負の値で指令すると、アラームPS0321(繰返し回数不正)が発生して起動すらできません。さらに、サイクル呼び出し時に仕上げ形状の開始(P)および終了(Q)のシーケンス番号を省略すると、Fanucではアラーム061、MitsubishiではプログラムエラーP33が発生し、加工プロセス全体が完全にロックされます。
Siemensのシステムでは、Manual Data Automatic (MDA)モード内でG73を直接実行しようとすると、安全インターロックにより即座にチャネルが麻痺してアラーム14011が吐き出され、システムの完全リセットを余儀なくされます。このようなエラーや機械的な干渉を防ぐためには、段取り段階でのパラメータ管理が生命線となります。Fanucではパラメータ5102#2 (QSR)を有効(1)に設定することで、サイクル開始前に終了シーケンスQの存在を数学的に事前検証できます。また、高速ブロック間移動パラメータ5123#1 (HMC)が有効な場合、サイクル途中のバッファ処理をバイパスした中途半端なプログラム再起動は「DATA IS INCORRECT」警告を招き、予期せぬタレットの暴走やチャックへの激突を引き起こすため絶対に厳禁です。ロットごとの寸法安定性と再現性の低下を防ぎ、不良品発生を極限まで低減させるためには、これらの制御固有の数値変数を実機稼働前に実機上で厳格に検証することが最も効果的な手段です。
関連コマンド
- G70、G71、G72旋盤荒加工・仕上げサイクル:G70仕上げサイクルはG73ブロックで定義された形状に対して最終加工を実行し、G71およびG72は標準的な棒材の荒削りや端面切削による材料除去を提供します。
- G01/G02/G03 (直線/円弧補間):これらの基本補間指令は、シーケンス番号 P と Q の間の仕上がり形状プロファイル内にプログラミングされ、部品の最終的な幾何形状を構築します。
- G68座標回転:この指令はプログラムされた座標系を回転させ、多軸旋盤等において特定の角度でパターン繰返し形状を加工できるようにします。
- G68.2傾斜作業平面:多軸加工のために傾斜した作業平面を確立する先進的な指令であり、G73などの標準的な固定サイクルを非標準の座標平面上で実行できるようにします。
- M98/M99 (サブプログラム呼び出しおよび戻り):これらの指令は外部サブプログラムを呼び出しますが、通常、シーケンス番号 P と Q のプロファイル定義範囲内に配置する場合は制限を受けるか、厳格なフォーマット規則の対象となります。
おわりに
鋳物や鍛造ブランクといったプリフォームド粗材の加工効率を最大化するには、Fanuc、Siemens、Mitsubishi各システムにおけるG73サイクル仕様の正確な理解と、制御パラメータの厳格な維持が最も確実なアプローチです。空打ちを排除した平行ステップ加工はサイクルタイムの劇的な短縮をもたらす一方で、わずかな設定ミスが再現性の低下と製品の不良品発生に直結します。生産開始前に、サイクルの安全開始点クリアランス、補正方向のインクリメンタル符号、そして各社特有のシステムパラメータをチェックシートで再確認することを、すべての量産旋盤ラインにおける標準作業手順として組み込むことを推奨します。
よくある質問
G73サイクルで加工ロット間の寸法ばらつきを防ぎ、繰り返し精度を維持するにはどうすればよいですか?
荒加工の段階でロットごとの鋳肉ばらつきを考慮し、1パスあたりの切削負荷を一定に保つことが極めて重要です。インサートの機械的摩耗やスピンドルの熱変位が製品寸法に影響を及ぼし、結果として2ロット目からの再現性の低下や不良品発生の原因になります。対策:荒加工の割数Rを調整して1パスあたりの切削負荷を一定に保ち、段取り時に粗材のロットごとの肉厚変動を測定して仕上げ余裕(UおよびW)を最適化してください。
量産開始前にG73の逃げ量パラメータ(5135番・5136番)を実機で検証する最善の手順は?
パラメータ設定の不備は、ワークやチャックジョー、バイスジョー、タレットへの激突といった深刻なハードクラッシュを引き起こします。プログラムされた座標を機械が正しく認識しているか、実切削の前にコントロール画面上で検証する必要があります。対策:初品加工前に必ずコントロールパネルで5135番および5136番パラメータのミリ値換算を確認し、シングルブロック(Parameter 5125#2 PRS=1)で空運転を行ってリトラクト時の刃先の軌跡を目視確認してください。
Mitsubishiの旋盤でG73を実行した際に発生するアラームP191(符号不一致)の直接原因と回避方法は?
アラームP191は、プログラムで指定したX軸(UまたはI値)およびZ軸(WまたはK値)の切削余裕量やリトラクト方向の符号(プラス/マイナス)が、シーケンスPからQで定義された実際の輪郭の進行方向と矛盾している際に発生します。対策:外径加工か内径加工かに応じて、切削代 of 符号(径方向のプラス/マイナス)がシーケンスPからQまでの輪郭の座標変化と合致しているか確認し、不一致の場合はプログラムのI値およびK値のプラスマイナス符号を反転させて再入力してください。
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- Mitsubishi Electric NC Sales & Service Section Manager (2008 - 2025)
- Reis CNC Service Engineer (2003 - 2005)
- Ören Kalıp CNC Mold Line Team Leader (1999 - 2002)
CNC工作機械業界のあらゆる分野で25年以上の経験を持ち、ブランドに依存しないコンサルティング、エンジニアリング、純正部品サービスを提供するCNC CAREの共同創業者として活動を続けています。
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